(2014年4月19日19時開演/アトリエ劇研)
久方振りのC.T.T.試演会だったが、その内容には大きな違いがありつつも、舞台上で演技を行うということに対する真摯さという意味では3団体ともに通じるものがあったように、僕には感じられた。
まずは、高槻現代劇場でのワークショップを受けて誕生した「高槻シニア劇団」(50歳以上の参加者)の二つのグループのうちの一つ、高槻シニア劇団恍惚(うっとり)一座『とろっかとろっか 恍惚一座バージョン』(伊地知克介劇作、山口茜演出)から。
技術的な云々かんぬんよりも前に、まずもって様々な人生経験を重ねてきた出演者の皆さんの存在感やエネルギー、演技から垣間見える人柄に魅力される。
また、地域の現状や、大きな暴力と小さな暴力の問題をしっかりと盛り込みつつ、向日性というか、希望の視点を失わない伊地知さんの脚本(もともとあった作品を、恍惚一座用に手直ししたものとのこと)にも、面白さを感じた。
そして、山口さんもそうした演者陣やテキストのプラスの部分を尊重して、無理を強いることのない演出を行っていた。
稽古はもちろんのこと、こうした実演の経験も重ねて、さらにさらにお客さんをうっとりとさせるような舞台を生み出していって欲しいと思う。
続いては、劇団ヤッホーの『イルメノルチルの音楽』(劇団ヤッホー出演・演出、ブリキの骸骨作・監修)。
ヤッホーなんて名乗っているから、はっちゃけはきはきの劇団かと思ったら、さにあらず。
確かに含みがあって諧謔味にも満ちたテキストではあったが、豊田智子の演技は非常に緊張を強いるもの。
正直、ちょっと「緊張」する部分が長いなあと感じられて、舞台上ではしっかり緊張が続いてはいたものの、どうしても観るこちら側の緊張が切れてしまったりもしたのだけれど、合評会であえて挑戦してみた旨の発言もあり、なるほどと理解がいった。
呼吸が声に変わり、さらに言葉に変わっていくプロセスの声の部分がとても音楽的で、僕ははっとさせられた。
そして最後は、劇研アクターズラボ公演クラス(あごうさとし指導)のメンバーによる、背泳ぎの亀の『最後のコント』(あごうさん作・演出)。
「今現在」演劇活動を行うということともに、アクターズラボの公演クラスに参加するということへの問いかけが含まれた、二重の意味でアクチュアリティに富んだ作品となっていたのではないか。
アンサンブルの組み方や、登場人物のキャラクター等々にも、あごうさんの配慮がよくうかがえた。
演者陣のほうもまた、あごうさんの意図に沿う努力を重ねていたと思う。
板倉真弓や山野博生、渋谷勇気ら経験者に一日の長があることも事実だけれど、その他のメンバーも、(1月の内々の発表会を観ていることもあって)この間の研鑚を充分に感じ取ることができた。
今回は途中までの試演ということで、完成版=8月の本公演が実に愉しみである。
いずれにしても、3団体の皆さんの今後のさらなるご活躍を心より祈願したい。