『サロメ〜フルーツスキャンダル〜』
原作:オスカー・ワイルド『サロメ』
構成・演出:ごまのはえ
(2014年3月25日14時開演/3F project room)
柳馬場御池下ルTNCビル3Fの3F project roomで開催された、ニットキャップシアターのギャラリー公演『サロメ〜フルーツスキャンダル〜』は、オスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』を下敷きにしつつも、手製の仮面やエスニックな響きのする音楽、そしてダンスなどを活用しながら、洗練されたアンサンブルとよい意味での邪劇性が混交した、ニットキャップシアターらしいシアターピースに仕上がっていた。
中盤、ごまのはえ演じるエロド王が劇の展開をぐっと引き締め引き回したこともあってだが、原作の持つ耽美性や、サロメ(市川愛里が熱演)と預言者ヨカナーン(織田圭祐他)との関係、サロメと母エロディアス(古屋正子の貫録が印象深い)との関係よりも、エロド王とサロメとの関係に主軸が置かれているように感じられた。
し、なおかつ、ごまさんの圧巻怒涛の演技(藤山寛美を思わず思い起こしてしまうような座長ぶり)から、オスカー・ワイルドの表現者としての矜持や強い意志、苦悩、さらには彼が対峙した諸々が透けて見えるように思われたことも事実だ。
(それには、一応原作に何度か触れていることも小さくないだろうけれど)
ほかに、高原綾子、永富健大(彼の今度の活動に注目していきたい)も作品の性格やごまさんの志向によく応える努力を重ねていたし、山岡未奈、門脇俊輔も作品の趣向をよく支えていた。
そして、今回の公演で仕掛けられたあれこれが、今後のニットキャップシアターの作品にどのように活かされていくのかも非常に愉しみである。