『同情セックス』
脚本・演出・出演:山西竜矢
出演:小川晶弘
『強く押すのをやめて下さい』
脚本・演出:丸山交通公園
出演:浅田麻衣、西村花織、森麻子
(2014年3月1日19時開演の回/人間座スタジオ)
月面クロワッサンの番外公演、月面クロワッサンのおもしろ演劇集のどんじりに控えしは、月クロの笑いのツートップ、山西竜矢と丸山交通公園の脚本演出による男性二人芝居と女性三人芝居という、まさしく笑いのガチンコ勝負。
その結果や如何?
まず先手は、山西君の『同情セックス』。
明日も公演があるので詳しい内容については触れないが、若い男二人のセックスにまつわる情熱と葛藤を軽々と描いた実におかかなしい作品に仕上がっていた。
笑いのツボを充分に押さえた職人技で、そのところどころに山西君のぬめっとした感じというか、サディスティックさというか、観察眼の鋭さが垣間見えていたのも興味深く面白い。
要所急所で笑いを仕掛ける山西君に対し、小川君も見事なコンビネーションで応えていたのではないか。
山西君の一人芝居(飴玉エレナ)とともに、小川君との二人芝居もできれば続けてもらいたいなあ。
一方後手の『強く押すのをやめて下さい』は、丸山君が脚本演出に徹するという幾分アウェー状態。
丸山君の脚本は、女性が演じるという点を十分十二分に計算に入れた、いびつでグロテスク、捻りずらしのきいた内容だったが、実際の舞台のほうは、丸山君の作品の持つシリアスさ、深淵が一層強調された圧巻となっていた。
その分笑いは減ぜられていたものの(笑うに笑えない)、これまでの月クロの一連の作品で不本意な役回りしか与えられてこなかった浅田さん、西村さん、森さんにとって今回の作品が、配役という意味でも演技という意味でも、最良のものとなっていたこともまた事実だろう。
少なくとも、この『強く押すのをやめて下さい』が、彼女ら三人の演技、演劇活動の変化変容にとって大きな契機となるだろうことは、まず間違いあるまい。
三人による企画公演を、ぜひとも継続していって欲しいものだ。
(西村さんと森さんの場合は、昨年夏の劇団しようよと先日の『無欲荘』がホップステップとなっていたのだが)
いずれにしても、今回の公演に関わった面々の今後のさらなる活躍を心から期待したい。
ああ、面白かった!