『高間家 平井家 結婚お披露目パーティー』
作・演出:新郎(高間響)
(2013年6月9日14時半開演/京都大学西部講堂)
空前絶後とまでは言えまいが、やはり前代未聞なことだろう。
京都大学西部講堂で結婚祝賀のお食事会を開くまではまだしも、そこにプロレス付きの披露宴をドッキングしてこましたろうなんて。
しかも、友人知己ばかりか一般のお客さんにそれを開放しようというのだから、これはもう沙汰の限り。
そんな笑の内閣プロレス復活特別公演『高間家 平井家 結婚お披露目パーティー』だが、おめでたい席が大好きな上に、最近笑の内閣に対する明確な支持を打ち出している人間としては、これは当然観逃せまい。
と、言うことで、昨日京都大学西部講堂まで足を運んだのだけれど、いやあこれは足を運んで本当に大正解。
いい公演であり、いい試合であり、そして何よりいいお披露目パーティーとなっていた。
さて、我ら一般客はお食事会終了後の14時頃より西部講堂に入場。
四方香菜の司会で、沢大洋扮するなんたろザビエル神父に従って新郎の高間上皇と新婦の平井ゆき枝さんが登場し、一同起立で讃美歌「いつくしみふかき」を斉唱。
お互い誓いの言葉を口にしたまではよかったが(沢ザビエル神父が、「貧しきときも」を「まぶしき」と言い間違えたのが、まず反則だ)、そこに五藤七瑛(ピンク地底人2号。やりもやったり)率いる「ごなえ軍」が乱入し、ゆき枝さんを奪っていったからたまらない。
プロレス勝負に勝てばゆき枝さんを返してやろうという、アメリカのプロレス団体を彷彿とさせるプロレス試合プロレス芝居、まさしく怒涛の「茶番」(誉め言葉あるよ)のはじまりはじまり。
(ただ、「茶番」は「茶番」だけれど、上皇ばかりか他の出演者たちの古傷、今の傷をさらけ出すあたり、充分「私戯曲」ともなっている)
で、テレビは置くとして、生のプロレスといえば学生時代に全日本プロレスの試合を何度か観たかぎりの人間としては(余談だけれど、鶴田や三沢のエースはもちろんのこと、ジャイアント馬場とラッシャー木村、大熊元司、永源遥、渕正信、マイティ井上らの繰り広げる「茶番」も僕は大好きだった)、プロレスそのものに関してあれこれ言えないのだけれど、仮面のドス・ミサワ(清水航平)と瑞慶覧長空の第1試合からして、激しいやり取りにぐっと入り込む。
これまでプロレスの試合は未経験ということに驚いたほど。
続いて、クールキャッツ高杉は、伊藤純也、HIROFUMI、金原ぽち子、髭だるマン、上蔀裕樹ふんする岡山名産怪人軍団との一騎打ち。
クールキャッツ高杉の奮戦で高間軍の勝利かと思いきや、岡山・津山・八つ墓村のたたりで彼が呪い殺されるといういかにもの展開で、試合は続く。
(以降も含めて、合田団地、中谷和代、川崎一輝、社会窓太郎、伊集院聖羅、薮内隼、どす恋太郎らが華?を添える。ちなみに、秘書役の小林まゆみは昨日が誕生日だったよし。おめでとうございます)
お次は、リッキー・クレイジー(嵯峨シモン)&マリイ・ジョー(藤井麻理)とグレイブディガー(ちっく)&ピンク金星人3号(浪崎孝二郎)のタッグマッチ。
特に、ベテラン嵯峨シモンとちっくの試合運びを愉しむ。
そうそう、この間プロのプロレスとは違うから、どうしても試合展開に隙間が出たりもしていたのだが、解説の向坂達矢をはじめ、実況の本宿直幸、木村直幸あたりがときに舌鋒鋭くそこをカバーしていたんだった。
(ほかに、レフェリー・ミスター八つ橋を野口雄輔、リングアナをスピッ太郎が務めていた)
さらに、高間軍の熱い男しゃくなげ謙治郎&デルウィーシュ・アル・ヒル・ダヒカ(由良真介)とごなえ軍のクレイジー・キラー(高田会計)&グレートティーチャーヒゴハシ(肥後橋輝彦)の勝負も高間軍は劣勢で、ついに新郎高間上皇自身がリングに上がらざるをえなくなって…。
と、ここからはもうお約束の流れだったのだが、高間上皇の様々な想いが表わされたりしたのち、無事ゆき枝さんとの愛が確認されたときには、驚くことにぐっと心を動かされた自分がいた。
これも全ては、総勢38人の出演者+スタッフ陣を集め得た高間上皇の人徳…。
いや違う違う、まずはこうした企画にOKを出した新婦ゆき枝さん(美しくってプロポーションもいい)こそ、大きく讃えられてしかるべきだ。
ただ、ゆき枝さんを「だめ男に母性本能をくすぐられた女性」、なんて考えてしまっては大きな誤りであることは、打ち上げの席でのゆき枝さんご本人のお話からも明らかだろう。
自分のだめさ、あかん子さ、弱さをさらけ出して、それでもやりたいことをやる、という高間上皇の姿勢人柄をこそ、ゆき枝さんは認めたのではないか。
そしてそれはたぶん、直接高間上皇に不満をぶちまけながらも、こうやって集まった出演者スタッフ、その他関係者(加えて一般のお客さん)にも通じることだと思う。
(その意味で対象的なのが、歯噛みしてでも自分の弱さを見せたくないだろう月面クロワッサンの作道雄君だ。公演間際なので仕方ないことは承知の上で、彼の不在が本当に残念だった)
いずれにしても、そうしたゆき枝さん、高間上皇に相応しいパーティーだった。
ゆき枝さんと高間上皇の末永いお幸せを心より祈願しつつ。
本当におめでとうございます!!