監督・脚本:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
原作:アルフレート・デーブリーン
(2013年6月6日13時上映の回/元・立誠小学校特設シアター)
あれは、院生時代の海外実習でのケルン滞在中のことだから、ちょうど20年前のことになる。
ひょんなことから知り合ったある人物の部屋を訪ねることがあって、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー(亡くなってから10年ほど経っていた)についてあれこれ話を聴くことになった。
まあ、聴くと言っても、ドイツ語ばかりか英語の会話能力も劣る人間ゆえ、両方ちゃんぽん、それも超スローモーな会話だったにもかかわらず、いかほど相手の話を理解できたかは怪しいかぎりであるが。
で、その会話の中で、相手が熱心に薦めていたのが、『ベルリン・アレクサンダー・プラッツ』であった。
(確か、ほんの一部をその際に見せてもらった記憶がある)
「長い」、けれど、「観ておけ」という相手の言葉に頷きはしたものの、ケルン滞在中からこの方、『ベルリン・アレクサンダー・プラッツ』を観る機会を、僕は残念ながら逸してきた。
その『ベルリン・アレクサンダー・プラッツ(広場)』<「13話とエピローグ」によるテレビ映画>が、6月1日から元・立誠小学校の特設シアターでかかっているということで、今日になってようやくその第1話を観た。
1920年代末のベルリン、ある罪で4年間服役していたフランツ・ビーバーコップ(ギュンター・ランプレヒトの存在感!)という男が刑務所を出所する。
ところから話は始まるのだけれど、さすがはファスビンダー、第1話からとばすとばす。
って、これは物語の展開のことじゃなくって、映画の造り、表現という意味で。
ファスビンダーの描き出す諸々は、正直僕の好みには合わないものでもあるのだけれど、フランツ・ビーバーコップが体現する暴力性や狂気は、他人事他所事ではすませられない心のざわつきを僕に強く与える。
果たして、フランツ・ビーバーコップの運命や如何?
そして、ファスビンダーのあの手この手にも大いに興味が湧く。
残る12話とエピローグをなんとか観ておきたい。
(21日まで上映中)
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