☆ロドリーゴ:アランフェスの協奏曲&ある貴紳のための幻想曲他
独奏:ミロシュ・カラダグリッチ(ギター)
伴奏:ヤニク・ネゼ=セガン指揮ロンドン・フィル
(2013年9月/デジタル・セッション録音)
<ドイツ・グラモフォン/マーキュリー・クラシックス>481 0652
モンテネグロ出身の新鋭ミロシュ・カラダグリッチが、ギタリストにとっては避けては通れないロドリーゴのアランフェスの協奏曲と、同じくロドリーゴのギターと管弦楽のための佳品、ある貴紳のための幻想曲を弾いたアルバムだけれど、これはCDのカバー(表側)とバックインレイ(裏側)の写真が全てを物語っているのではないか。
ハリウッド・スターを彷彿とさせるイケメンのミロシュ・カラダグリッチが、ギターを構えてななめを向いているカバー。
そして、アランフェスよりもひときわ大きいMILOS(Sの上には∨みたいな記号)の文字。
(まあ、指揮者のスタニスワフ・スクロヴァチェフスキだって、ミスターSの略称で呼ばれているしね。ちなみに、モンテネグロがらみで記すと、かつてのユーゴスラヴィアの王家はカラジョルジェヴィチ家だ。あいた、舌噛んじゃった)
で、裏はといえば、ギターを背中に抱えたミロシュが、スペインの荒野(だろう)の中、一人ギターを抱いた渡り鳥状態でたたずむ遠景だもんね。
つまるところ、今風にパッケージされたかっこいい演奏であり、録音ってことですよ。
ミロシュのテクニックは、アランフェスとある貴紳のための幻想曲との間に挟まれた、3つの独奏曲、ファリャの『ドビュッシーの墓碑銘のための賛歌』と『三角帽子』の粉屋の踊り、ロドリーゴの『祈りと踊り』も含めて万全そのものだし、これまた新鋭ネゼ=セガンが指揮したロンドン・フィルも、そんなミロシュにぴったりの洗練された切れのよい伴奏を行っている。
やたらと分離のよい録音(オケ付きのほうは、ロンドンのアビーロード・スタジオでの録音)もあって、なんだかポップスやら映画音楽寄りの感じもしないではないが、CDは音の缶詰、まさしく録音芸術と考えれば、文句もあるまい。
それこそスペインの大地の土の臭いのするような演奏をお求めの向きや、イケメンなんて糞喰らえ、俺はチャールズ・ブロンソンみたいな「ぶちゃむくれ」(byみうらじゅん)の御面相のギタリストの演奏じゃないと聴きたかねえやという向き以外、すっきりすかっとしたアランフェスの演奏録音を愉しみたいという方には大いにお薦めしたい一枚である。
posted by figaro at 21:57|
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